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2018/02/25

幕末の銀の大流出!

指差し小
 すみません、まだ上念司さんの『経済で読み解く明治維新』の話が続きます。

 私がいろいろ勉強し始めて、江戸時代から明治にかけての歴史で一番残念に思うたのが、銀の流出の話です。たしかこのブログの右下の、私が読んできた本の中の、若狭和朋さんの本やったと思います。アメリカの金と銀の交換比率が大きく違っていたので、通商条約を結んだあと、膨大な量の日本の銀があっという間に流出してしもたということです。

 開国までは日本は「黄金の国ジパング」と呼ばれてたということですが、それは半分ホンマのことやったんですね。この金、銀の交換比率の設定を失敗したことがこの上念さんの本にも出て来ています。そんなお金の話は、私らは学校で教えられることはないけど、実はお金って、歴史が動くかなり重要な動機やねんな。よう考えたら当たり前やけど。

 江戸時代の始め頃、産業はどんどん発達して経済規模は大きくなったけど、まだ金銀もたくさん産出されてたし、蓄えもあったからよかったけど、それが減ってくると当然デフレになると。また、毎年決まった禄をもらうお侍さんは、幕藩体制は石高制というある意味米本位制やから、実質賃金がどんどん減っていく、つまつまりはお侍さんがどんどん困窮していく、という構造に最初からなってたんや、と書いてはります。その後、幕府はしょっちゅう「○○の改革」をしていくことになるんやけど、実は江戸幕府の歴史はこの繰り返し、ということみたいです。

 あ、あとこの本でずっと出てくるのが、「百姓(農民とは限らない)」という書き方です。百姓は江戸時代、日本人の85%を占めていたけれど、必ずしも全員が農業をしていたわけではなかったそうです。藩に縛られてはいますが比較的自由に「儲かること」を見つけては色んな産業に従事していたということです。その中でも江戸や大坂が発展していく中で運送業(菱垣廻船とか)がものすごい発達したと。地方で生産される農産物を都市に運んで儲けるわけですね。まあそれは今もいっしょか。

 話は戻ってお侍さんが没落するということは、大名が没落するということで、でも賢い藩の中には「藩札」を発行するところが出てきたと。当時、今でいう「通貨発行権」は曖昧やったから、その隙間を突いて各藩が藩札を発行し始めて、それがいわば「デフレレジーム」である「幕藩体制」に風穴を開けることができた、と書いてはります。

 藩札の裏付けは幕府に気を遣って、金ではなく銀、つまり銀との兌換券やったと。で当然藩札は藩の中でしか通用せえへんから、藩外へ旅行するときには大判小判、つまりは金銀銭に交換して持って行ったそうです。

 へえー、経済で見たら、藩というのは独立国みたいなもんやね。せやから日本は大日本連邦や。ただ、歴史教科書では藩札についてはとてもネガティブで、「裏付けのない借金」とか、「インフレの原因になった」とか書かれてるそうです。ここらへんは私らの常識とか、家計の感覚で考えると間違いますね。「借金」は必ずしも悪いものではないということやそうです。

 たとえばいくつかの賢い藩は、莫大な「借金」を70年の割賦払いで解消した、とか。また、幕末の長州藩は、藩と毛利家を分離して、藩に債務を押し付けて、毛利家に「撫育方(ぶいくかた)」という殖産興業をする特別会計を作って、そこが色んな金儲けをして、藩の財政危機を乗り切ったと。まさに今でいう「分社化」ですね。

 一方で幕府の方は政策の失敗で金銀が流出して信用が下落し、結果的には各藩の藩札の方が「安定通貨」として流通するような事態もあったそうです。民間というか庶民の方が賢く生き抜いてきたんでしょうか。

 最後に「あとがき」からコピペしときます。
 <マクロ経済政策として行われた貨幣の改鋳、全国各地の産品を消費地に運ぶ巨大物流網、資金決済システムとしての金銀複本位制、先進的なローンや保険の仕組みなど、現代にもつながるありとあらゆる経済やビジネスのシステムを日本人は独力で開発し、運営しました。>

<私たちは江戸幕府の滅亡から何を学ぶことができるでしょうか。・・・日本と言う『世界で一番古い国』が、今後も生き残っていくために。>

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コメント

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江戸はすごかった

>通商条約を結んだあと、膨大な量の日本の銀があっという間に流出してしもたということです。

はい、これは前に、歴史家の本だったか、ねずきちのブログだったかでも書かれていました。日本人としては、愕然とする歴史事実です。

当時、世界では銀の流通も不足していて、欧州列強は銀も欲していたそうです。米国ではゴールドラッシュだし、すでに南米では金の大産地であったインカ人の帝国が、溜め込んで工藝品に加工した膨大な金が欧州に略奪して持ち去られて延べ棒にされてしまいましたから、金より銀の方が希少性があったという話しでした。

そんな世界のトレンディを日本が深く知るよしもなく、弱みにも付け込まれ、不平等契約や、いわゆる固定的な為替レートのダマしみたいな手口で、日本の銀をせしめたのです。
白人が「知は、ちからなり」というと、こういうイメージなのかと思ってしまいます。

上念氏のあとがきにあるとおり、日本の江戸時代は、とても先進的で現代につながるアイデアや運用を先取りしていたんですね。すごいことです。
藩が対抗しての侵略・略奪がなく、奴隷制に移行しなかったという点も、日本の素晴らしさですね。貧すれば鈍する、にならなかった点が、すごい精神文化だと思うのです。

ただ、その習慣から、狡猾で欲深くて有色人種を蔑視する外国相手にも、日本の価値感が通用すると思いがちですし(幕府の重臣たちは、交渉でそうとうに頑張ったそうですが)、対策のアイデアがなくて損ばかりしてきたのは、やむを得ない面があったとはいえ、悔しいものです。

Re: 江戸はすごかった

コメントありがとうございます。
>狡猾で欲深くて有色人種を蔑視する外国相手にも、日本の価値感が通用すると思いがちですし
・・・いやあ、ホンマに日本人はこれでやられっ放しですよね。悔しい、、、。

金と銀

今晩は。
あちらではお騒がせして申し訳ありません。

金と銀の交換による莫大な流出のお話。
私の記憶では金をゴッソリ持って行かれた、と。
数十年前の記憶ですから、左巻き連中がよく言う、ソースを、にはお答え出来ませんが…。
まあ、銀も混ざり物で目方の在る銀貨?との交換で相当持ち出されているでしょうけど。
外人どもの本命は日本の金だったか、と。
記憶違いでしたらごめんなさい。
失礼しました。

Re: 金と銀

コメントありがとうございます。
たしか、メキシコ銀は安かったんですよね。
両替というか、持ち込んで換金するだけで利益3倍って、そら誰でもやりますよね。