北方領土の返還は50年かかってもええ。今は無理。原則だけは崩したらあかん、富国強兵や。

グレンコ・アンドリー



 グレンコ・アンドリーさんというのは、国際政治学者、ウクライナの首都キエフの出身で、早稲田大学に留学して、いったんキエフに帰った後、京都大学大学院でまた勉強中に、アパの懸賞論文で入選しはった人ですね。32才、若いですね。この人とは別に同じウクライナ人でナザレンコ・アンドリーという人がネットでは結構出てはるのでややこしいですね(笑)。こちらはもっと若くて24才。Twitterでも盛んに発言してはりますね。

 で、グレンコ・アンドリーさんに戻って、この本『日本を取り巻く無法国家のあしらい方』を、知人から頂いたので読みました。ウクライナというのは昔からずっとロシアに押さえつけられていたんですね。せやから今の日本と日本人を見て、それはそれは危なっかしいと思い、警鐘を鳴らしてくれてはります。「はじめに」で、いきなり笑えます。グレンコさんが子供の頃に聞いた話。

 天地創造の頃、神が側近に言った。
 「ウクライナという国を作ろう。世界一美しい国土に世界一美味しい食物を与え、世界一勤勉な人々を住まわせよう」
 「神様、それではウクライナという国が恵まれすぎています」
 「心配なし。隣にロシアという国を配しておく」

 いや、笑い話ではありませんね。今ウクライナの東部はもう実質ロシアが押さえていますね。ウクライナは過去通算で330年間、ロシアから「植民地支配」を受けて、その犠牲者の数は1000万人なんやそうです。せやから、韓国が「日本に植民地支配を受けた」なんて言うのはちゃんちゃらおかしい、ということのようです。ソ連時代、スターリンがウクライナの農村地帯から食糧を強制的に奪い取り、何百万人もの餓死者を出した「ホロドモール」もあった、これが植民地なんやで、という話ですね。

 韓国=ストーカー、北朝鮮=チンピラ、中国=ヤクザ、ロシア=マフィア、と書いてはるグレンコさんからしたら、やっぱり一番危険なのはロシアでしょう。せやからこそロシア人の思考回路についての話は、私ら日本人にとってはものごっつい参考になりますね。

 北方領土問題についても、めっちゃシンプルです。ロシアは全く返す気なんかありませんね。なぜなら、「第二次世界大戦における勝利こそが、ロシアにとっての国家の正当性の源そのものです」と。ロシア人の大多数は一応(キリスト)正教会ですが、その最大の祭日である生誕祭(クリスマス)よりも、もっと大事なのが毎年5月9日に行われる「対独戦勝記念日」なんやそうです。

 先の大戦のことをロシア人は「大祖国戦争」と呼んでいる、と。ちなみに「祖国戦争」は、フランスのナポレオンとの戦いに勝った戦争のことやと。せやから、今の領土はこの偉大な大祖国戦争の結果やというわけですね。こりゃー、丸山議員やないけど、また戦争で勝たへん限り、返ってけえへんな。と思たら、グレンコさんもはっきり書いてはりました。

北方領土を取り返すことが可能になるのは、日本が軍事的にロシアより強くなった時です。

 せやから、焦ったらあかん、何十年かかってもいつか必ず、という心構えが大事、と。ロシアには深入りは禁物、外交的儀礼だけでええ、とも書いてはります。立場だけは変えたらあかん、ということですね。これについては先日亡くなりはった木村汎さんがずっと言うてはりましたね。2島先行返還とかに騙されたらあかん、と。ふむふむ、「原則大事」というわけですね。

 この本ではグレンコさんは韓国、中国、北朝鮮についてもどうあしらえばええか、を書いてくれてはります。めっちゃ現実的で、説得力があります。安倍ちゃんについても辛口です。

 安倍首相の対中対露外交は、目先の問題だけを解決していこうという外交にしか見えません。根本的に変えようとする意思はどこにも見えません。

 つまり、八方美人や、と書いてはります。でも、安倍さんは今の日本の有力政治家の中で一番マシやから、安倍内閣を打倒するべきではない、他の政治家はもっとひどい、と。でも一番マシな安倍首相ですら、アメリカのエリートからは信用されていない、そうすると、他ではもっと信用されへん、ということで、日本の政界はここまでも人材不足に陥っています、とまで書いてはります。

 いやあ、ようわかってはるなあ。もう絶望的な気分になりそうですが、「おわりに」ではちゃんと心構えまで書いてくれてはります。その6つのうちの一つです。

 3 うまくいかないことを、誰か、何かのせいにしてはいけません。例えば、アメリカが悪い、左翼が悪い、憲法九条が悪いからできない、など。どうすればできるのか、考えなければなりません。

 そして、「100年かかるかもしれません」とも。ひえーー、スケールが違うな。でもこの本自体は、日本人への愛情に満ちていているように思いました。日本のことが大好き、みたいな。

 私ら大阪の人間はせっかちやから、すぐにでも結果が欲しくなるんですが、それではあかんわけですね。50年、100年先にでも、「あの時にあんたが頑張ってくれたから、今があるんや」と言うてもらえるようにせなあかんわけですね。うーん、なかなか達観はできそうにないなあ。

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ナニワの激オコおばちゃん
Posted byナニワの激オコおばちゃん

Comments 3

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弓取り  

謹賀新年

昨年末のエントリーですが、ご挨拶をさせていただきました。

さて、我々日本の領土問題ですが、マスゴミが話題に上るようになってからでも、あまり年月を経ていないのではないでしょうか。竹島でさえ奪還できていません。政府も行政も表面をなぞるような声明と遺憾砲を出すだけです。

むかしは、赤尾敏という方が街宣演説で北方領土奪還を主張されていたと仄聞しますが、それも日本国民の危機感にはつながらなかったのですね。日本人の国土領土、国民の意識が薄められていたのでしょう。その一方で「平和」だの「人権」だの、他国が建て前以上には守っていない理念に酔わされてました。

これでは対外交渉なんかできません。相手も舐めてかかってきます。いつも腹の中でほくそ笑んでいたに違いありません。特に、クレーマー、チンピラ、やくざ、マフィアはね。彼らが日本に互助の見返りをしたことがあったでしょうか。パンダとか?有償ですね。日本人の喜びようにシナの方が驚いたとか。
日本の金権政治家も、負けじとばかりに特あそれぞれと利権とりつけに競争したんですね。ロシアとの利権を確保したいSとかいましたが、これは相手が悪かった。

外国勢力の草刈り場になって乗っ取られるのも無理がありませんね。スパイ天国と呼ばれて久しい。工作員の隠れ家とも言い添えましょう。
こうした大きな流れの中では、日本の首相は、誰がその座についても、そのちからを信頼されないのだと思います。現実的な効果の話しができません。安倍さんと言えども、変化の端緒についただけです。

良心的な外国人は、特あとロシアを批判したうえで日本に助言してくれます。ありがたいですね。
北方領土は、はっきり言って、電撃作戦で占領して居座り防衛しない限り返ってきません。
それを断行する前に、日本国内の意識統一と覚悟を結集できないですね。断行しても、あとが大変です。

書かれているように、ロシアの弱体化を待つのが「平和的」なんでしょうね。それでもシナなどは、関係なくても過去の些細な事例を拡大解釈して武力介入してくる可能性がありますけど。できれば、ボロボロになったロシアが北方領土の面倒を見てくれと日米に頼んでくるのが最善です。

2020/01/01 (Wed) 13:43

ぼりん  

維新人気の原因

おばちゃんさん、明けましておめでとうございます。
こちらでは初コメさせていただきます。

>私ら大阪の人間はせっかちやから、すぐにでも結果が欲しくなるんですが
これが大阪での異常な維新人気の原因だと思います。
橋下徹は頭のいい人なので、ここを上手に突きましたね。
私は30年以上大阪府民でしたが今は他県住みで、大阪都構想に対して
何もできることはありませんが、絶対に成立させてはいけません。

微力ではありますが維新の危うさ・胡散臭さを発信していかなければと
思っています。

2020/01/02 (Thu) 05:23

ナポレオン・ソロ  

ホッポ4党よりも、国際法違反の強制連行強勢両道の萌芽重大

北方領土の話は、端から、無理な話だと思って居ます、その前に、相互不可侵条約を一方的に反故にして、居留している民間人20万院を殺害した事、そして、武装解除した65万人もの兵士を騙し討ちで、強制連行~強制労働を最超10年に亘って課した結果7万人近い犠牲者を出した事と言う、重大な国際道義違反について、日本国は、国民の中に居る遺族に対する弔意と国民を国家として護れなかった事を公的に表明すべきでしょう。

 そして、此の件について、国家の権利を継承したロシアも、その弁明が出来無いのであれば、せめて遺憾の意を表するのが文明国としての道であろうし、決して現在の様な「日本は戦争の結果を受け容れるべきである」と言う、一方的で、不正義を正義と言い張る傲岸さに屈してはイケません。
 
 ならば、ロシアと一戦構えるのか? と言う話に成りますが、子の先の戦争は、核ミサイルの打ち合いになれば、勝者も存在出来ません、人類は絶滅するしか無くなる。 然し欧米人の価値観の基本は「自分が生きて居る間だけ自分が得をする尾の名ら好い」と言う未来の無いモノだから、少なくとも、そうした謝罪要求をするのは、日本が核武装をしてからの話に成るでしょう。

 然し、現実的に考えれば、北方4島かや南樺太の領土の価値と言えば、地下資源の時代が終わろうとしている現在、或いは、未来を考えれば、殆どが漁業資源であり、それに、観光資源が少々あるのみです。
 
 確かに「火事場泥棒」的な不正な方法で入手したものですカラ、変え瀬と言う主張には正統性が有りますが、では、戦争に負けたら戦勝国側は、敗戦国側の一切の権利を認めなくても良いのか? 何をしても許されると言うのか? と言う、客観性、公平性、公共性を重んじる近代国家なら、その様な、古代然とした戦争観、或いは、人種差別観は、世界に受け容れられるべきでは無いと私は思います。

 即ち、北方4島の問題よりも、この基本的な問題を正面の問題として据えて、せめて、強制労働の犠牲者の墓参や慰霊事業を現地で執り行って、如何にして亡くなったか、いかなる一生を送られたのかを世界に知らしめる事の方が、大切だと思います。

 スターリン支配下で、2千万人以上の犠牲者を出したロシアでは有色人種に対する差別意識から、更には、80年近く続いた共産主義体制下に居たロシアの人々は、慰霊の意味も知らないのではないかと、私は疑って居ます。 そうした低い人権意識しか自分達が持って居無いのだと言う現実に、ロシア大衆が向き合う事が、ロシア人自身の為になる事だと私は信じます。

2020/01/02 (Thu) 15:01

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