日本は森の国。工夫したら林業で日本は復活や。しかも最先端素材の原料も。夢みたいな話やな。

パンチ小


 私が「覚醒」してから知ったことは山ほどありますが、その中でびっくりしたことの一つが、お伊勢さんの「式年遷宮」でした。20年に一度、一番大事な正殿を造り替えるという大工事が、もちろん戦乱などでの中断はあったんですが、1300年ほども続いてる、という話ですね。

 建て替えるわけですから当然、廃材が出るけれど、何とそれは全国の末社?にお下がりとして譲り渡されるので、ある神社では、元はお伊勢さんの柱やったものが、今はその神社の鳥居として使われてたりするんやそうです。一方で、正殿を新調するための新たな木材が必要なわけで、それはちゃんとそのために木を伐採するための森が近くに用意されてるんやそうです。

 ひえーー、もう究極のリサイクルの思想が、日本では千年、二千年も続いていたというわけですね。そんなわけで、日本人は昔から森は大事なものとして、ちゃんと手入れをして来てたんやろなあ、と思てました。ところが、最近読んだブログで、それはちょっと違うことを知りました。

 伊勢雅臣さんという人が書いてはる「国際派日本人養成講座」というブログです。
 の3回にわたって、日本の林業のことについて書いてくれてはります。

 約5~4千年前の縄文時代中期の日本人の人口は26万人ほどで、皆が森の恵みで生きていけてたわけですが、弥生時代になって水田耕作が広まり、人口が増えて来ると、森の木はどんどん伐採されて行き、森林破壊が進んだんやそうです。さらに時代が下ると
 戦国時代には、安土城や大坂城など、多くの巨大な城の建設に大量の木材が使われた。また平和な江戸時代に入ると、各地で城下町、邸宅・家屋、社寺の建築が広範囲に進められた。そのため、江戸時代中期までに、九州から東北にかけて森林消失が広がった。
 ということなんやそうです。その頃になってようやく、「治山治水」の思想が広まってきた、と。木をたくさん切ると、山の保水機能が失われて洪水が起こりやすくなることは、今では常識ですね。けれども、明治時代は富国強兵、大東亜戦争後は戦後復興ということで、治山治水は一進一退やったというわけです。
高度経済成長に入り、木材需要がいっそう伸びた。それに対応すべく、林道を敷設して奥地林を大規模に伐採した後で、ヒノキ、カラマツなどを一斉に植える「拡大造林」政策がとられた。これが今日の花粉症の原因となったのだが。
 へえー、花粉症って、最近出てきたのはそういうことやったんですね。こうしてもともと豊かな森林資源を持っている日本の林業は安泰かと思われていたのですが、経済成長に伴って、燃料としての木(薪炭)の需要が無くなったことと、外国の安価な木材の輸入によって、またもやピンチを迎えている、ということなんやそうです。

 不思議なことに、日本国内では建築資材としての材木の需要はまだまだ多いのに、日本の林業がそれに全く応えられてへん、ということが問題のようです。上のNo.1160の記事で、日本の林業の問題点をまとめてくれてはります。

・日本では樹木の年間成長量の25%しか伐採せず、手入れ不足で森林が荒廃しつつある。
・日本国内需要の6割を海外からの輸入に頼っている。
・輸入代金に1.2兆円を使いながら、国内の林業経費の約7割を国庫で補助している。

 つまり、はっきり言うて日本国内の木材は品質が悪い、ということなんやそうです。その一番の原因が、木材の「乾燥」方法なんやそうです。もともと行われてた自然乾燥やと、杉の場合は何年もかかるので、最近では100℃で1~3週間かけて乾燥させてるんやそうです。もうコストはかかるわ、乾燥しても板は反るわ、強度は劣るわで、結局、品質はめっちゃ悪いままやった、ということですね。

 ところが最近ある業者が、45℃で1日で乾燥できる技術を開発しはったんやそうです。結果だけ書いときますと、100℃やったら木は死んでしまうけれど、45℃やと木は生きたまま使えて、しかも長持ちするんやそうです。「昭和最後の宮大工」と言われた西岡常一さんという人の言葉です。
 木は物やありません。生きものです。人間もまた生きものですな。木も人も自然の分身ですがな。この物いわぬ木とよう話し合って、生命ある建物にかえてやるのが大工の仕事ですわ。木の命と人間の命の合作が本当の建築でっせ。
 いやあ、深いですね。そして日本的な感覚ですね。そういえば、杉の学名は「クリプトメリア・ジャポニカ」と言い、「隠された日本の財産」という意味なんやそうです。またこの画期的な乾燥法を開発したのは「愛工房」という会社やそうです。そしてこの「愛工房」を中心にして、「緑の郷」構想が進んでいるそうです。
全国各地の山村に「愛工房」を設置し、その近隣に木材加工工場、家具工場、建具工場などを併設する。山村が木材の供給地として復活すれば、これらの工場をその近くに建てることが経済的になる。これにより、山村にも仕事が生まれ、過疎地が再生する。
 夢のある、スケールの大きい話ですね。そして何と杉は、次世代の最先端素材と言われている、セルロースナノファイバーの原材料にもなるんやそうです。日本が資源大国になるチャンスなんか? ホンマに話を聞くだけでもワクワクしますね。

 一向に収まらへん武漢ウイルスの話で、もう毎日うっとうしい限りですが、まだまだ日本は、数万年前からすでに文明があったんやから、決して今回のこんなことで負けるわけはあらへんでと、勇気が湧いてきますね。この騒動が収まったら、もっともっと、これから先の日本の行く先について、しっかり考えていきたいですね。

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ナニワの激オコおばちゃん
Posted byナニワの激オコおばちゃん

Comments 5

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鉄人27号  

明るい気持ちになるお話ですね。今回の武漢コロナ禍でグローバリゼーションが終わりに向かい、国内林業の復活につながると良いですね。

45°Cでの乾燥法興味深いです。

2020/04/14 (Tue) 04:59

ナポレオン・ソロ  

久しぶりに明るい話で、嬉しく、読ませて頂きました、式年遷宮の話は、私もネットを始めてから知りませんでした、1300年も続いて居ると言う事は、素晴らしい事ですが、事の始めは、天武帝内需のではないかと思いました、だって、その頃、時の弘文帝の追討令の宣撫を受けた、大海人皇子が吉野から、伊勢神宮に、反政府勢力を結集して、政府軍と戦い、勝利を収めて、天武帝に即位した日本史の一大事件が起こった時代ですからね。

日本の植林思想は、数々の失敗の産物であるにも関わらず、数年前の広島では、山津波を発生させて、80人近い人が亡くなっていますね、是も、大都市集中の弊害だと思います、目先の功利主義に知ら割れると、その裡、大きなしっぺ返しを受けると言う事ですね。

宮大工の西岡さんのお話、為になりますね、それに、乾燥温度を45度に下げるアイデアも素晴らしい、固より、科学とは自然の様を観察して、その仕組みを学び、真似る処から発しているので、全てが自然由来であると言っても過言では無いのだから、西岡さんの「木と相談してきめたらよろし」という言葉こそ、日本人のエートスである職人を代表するモノだと思いました、

そして、最後にCNF「=セルロース・ナノ・ファイバー」の原料に、杉の繊維が適しているとは、はじめて知りました、今迄は、サトウキビの搾りかすが最も有望と思って居ましたからね。

色々為になる情報有難うございます。

2020/04/14 (Tue) 14:00

傍観者  

早く花粉症を起こさない花粉を出す品種を・・・
毎年辛いのよぉ

2020/04/14 (Tue) 18:55

八丈島  

おばちゃん、僕は以前森林伐採の仕事をしていました。仕事いうても週末だけボランティアで参加してたんやけど、自分のチェーンソーも持っているし、めたて(チェーンソーの歯を研ぐこと)もプロなみにできます。樹齢70年近くの桧や杉を何本も一人で倒していました。今林業の採算がとれないので、僕のような素人でもボランティアなら手伝ってほしいということなのです。はっきり言って山は荒れ放題です。手入れが全然行き届いていません。地拵えから植林、鹿に苗を食べられない作業、枝打ち、間伐、など木材として価値が出るまでにたくさんの作業があります。手入れしないと商品にはなりません。その中でも大変な作業が木出しです。伐採した木を山から下ろすのです。山の上からロープウェイのように木を釣り上げて運びます。ロープをつなげる木を選ぶことから、ロープを結ぶこと、危険で大変経験のいる作業です。今どんどんそういうことができる職人さんがこの世を去っています。僕が毎週森林に行っていたころからもう10年以上になるけど、そのころは林業の神様のような人がいました。もう亡くなってしもたけど、その人からいろんなこととを学びました。それらをビデオにでも撮っておけばよかったと後悔しています。
この木出しが一番お金がかかるのですが。当時自分の山の木でを切っても海外から購入したほうが安価でした。ネックはきだしの費用でした。そのころ木こりの日当がおよそ1万円でしたが、危険な仕事でしかも天候に左右されるので、こんな賃金ではやってられません。ただ山のしごとは自然に包まれて気持ちよくやりがいがあります。杉の花粉を頭から浴びて真っ白になってもだれも花粉症にはなりません。
ところがこの森林の仕事、欧州では時給4~5千円で成り立っています。これは機械化が進んでいるからです。山に大型の機械を入れて作業しています。欧州は平地が多いというのもありますが、道をたくさんつけているのです。日本で機械化が進まないのは道をうまくつけていないからなのです。利害関係が複雑にからむ山の調整ができていないのです。それは一つは行政の責任でもありますが、現場にいる僕たちの目からは森林組合に一番の原因があると思います。彼らは全く作業できないし、現場で働いている人のことが全くわかっていません。たいした仕事もしないのにかなりの給料をもらっています。農業における農協との関係かそれ以上の悪影響です。いろんな利害の調整も含め行政が林業を国防の面からも自立させるため国がお金も労力ももっと使うべきです。欧州では高賃金で採算が取れているのですからできるはずです。そのためにもっと一般の人の関心を向けるようにしなければなりませんね。

でも森林の仕事は楽しかったです。今忙しくて行けてないけどまたやりたいです。
枝打ちも4メートルのはしごを山に持っていって、6メートルまでやりました。おもに枝打ちは冬の作業だったのですが、雪山で胸まで雪につかってしまうこもありました。お昼はみんなで薪をしてお弁当を温めて食べます。ボランティアだったので、ノルマもなく楽しい週末でした。

2020/04/14 (Tue) 19:02

あ、ほ  

おばちゃんのブログですが

八丈島さん、貴重なお話しをありがとうございます。

個人では、最近、チェーンソーは覚えています。
危険な作業ですね。

で、ぜんたいのループ、産業としてまわって行けば、なんとかなるとも
思いますが、はて、いまどき、IWGP(プロレスファンなもので、)
とのかかわりはどんなものでしょうか。
いうだけ野暮ですが。

吉野の山のむこうはって、
アキボノさくら、もっと植えんかい。
ぶつぶつぶつ、、、よろしゅうに。

2020/04/15 (Wed) 12:43

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